元銀行マンが本音で語る「おすすめできない理由5選」
少し前までは 35 年ローンが一般的でしたが、近年は 40年ローン、そしてついに 50年住宅ローン を取り扱う金融機関も登場し、「返済をとにかく軽くしたい」というニーズに応える商品が増えています。
物価高・地価高・建築費高騰が続き、
「35年では月々が高すぎる…」
「できるだけ返済額を下げたい」
という気持ちから、超長期ローンに興味を持つ人は確実に増えています。
しかし、元銀行マンとして断言します。
【結論】50年住宅ローンは“ほとんどの人にとって”おすすめできません。
この記事では、なぜそう言えるのか?
長期ローンの仕組みとリスク、誤解されやすいポイントをわかりやすく解説します。
- 1|なぜ今「50年住宅ローン」が増えているのか?
- 2|50年住宅ローンの“表面的なメリット”
- 3|しかし──50年ローンには“致命的な落とし穴”がある
- 4|50年住宅ローンをおすすめしない理由①
- 総返済額が異常に増える(利息地獄)
- 5|50年住宅ローンをおすすめしない理由②
- 完済時の年齢が高すぎる(老後破綻リスク)
- 6|50年住宅ローンをおすすめしない理由③
- 借り入れ余力がゼロになる(人生イベントに対応できない)
- 7|50年住宅ローンをおすすめしない理由④
- 金利上昇リスクを長期間背負う(変動金利の罠)
- 8|50年住宅ローンをおすすめしない理由⑤
- 住宅性能の寿命とローン期間が合わない
- 9|じゃあ50年ローンを使うべき人は誰?
- 10|【結論】50年ローンはやめたほうがいい
- 11|月々を下げたいなら、こうすべき(おすすめ代替案)
- 12|まとめ
1|なぜ今「50年住宅ローン」が増えているのか?
まずは背景から。
●① 家の総額が高騰しすぎている
2020〜2025年の間に建築費は大幅に上昇。
土地代も札幌圏を含め全国的に値上がりしています。
結果として、多くの人が、
- 35年ローンでは返済が重い
- 毎月12〜13万円の支払いは厳しい
と感じるようになりました。
●② 子育て世帯の負担軽減ニーズ
少しでも返済額を下げて教育費に回したい、というニーズも大きいです。
●③ 銀行側の狙い
銀行にとって長期ローンは
- 利息総額が増える
- 取り扱い件数が伸びる
という大きなメリットがあります。
つまり、50年ローンが登場したのは、
「利用者のためというより、金融機関側にもメリットが大きい商品」
とも言えます。
2|50年住宅ローンの“表面的なメリット”
まず、なぜ魅力的に見えるのか、その理由を整理します。
●① 月々返済額が大幅に下がる
たとえば3,500万円借入の場合。
| 返済期間 | 毎月返済額(変動0.6%設定) |
|---|---|
| 35年 | 約93,000円 |
| 40年 | 約86,000円 |
| 50年 | 約76,000円 |
50年ローンは35年より毎月17,000円ほど軽くなります。
これを見れば、50年ローンを選びたくなる気持ちは理解できます。
●② 若い人ほど「余裕が出る」ように感じる
20代で家を建てる人には、
「早く建てたいけど返済は軽くしたい」というニーズがあります。
●③ 団信(団体信用生命保険)加入で万一のリスクに備えられる
返済期間が長くても、団信の加入で万一の際は返済不要になるため、心理的安心感はある程度あります。
3|しかし──50年ローンには“致命的な落とし穴”がある
ここからが本題です。
私が「50年ローンはおすすめできない」と断言する理由は、以下の通りです。
4|50年住宅ローンをおすすめしない理由①
総返済額が異常に増える(利息地獄)
50年ローン最大の欠点はこれです。
3,500万円を固定1.6%で借りる例で比較すると…
| 返済期間 | 総返済額 |
|---|---|
| 35年 | 約4,538万円 |
| 40年 | 約4,775万円 |
| 50年 | 約5,347万円 |
35年と比べると、
約800万円以上の差。
返済額が増えるのではなく、
借りたお金より利息の方が多くなる
という異常な状態になります。
5|50年住宅ローンをおすすめしない理由②
完済時の年齢が高すぎる(老後破綻リスク)
50年ローンは完済が以下のようになります。
- 30歳で借りる → 80歳完済
- 35歳で借りる → 85歳完済
- 40歳で借りる → 90歳完済
今後年金支給年齢が上がる可能性を考えても、
70代〜80代で住宅ローンを返すのは現実的ではありません。
銀行員時代、
「60代以降で返済が苦しくなる」
という相談が非常に多くありました。
50年ローンの場合、そのリスクは確実に大きくなります。
6|50年住宅ローンをおすすめしない理由③
借り入れ余力がゼロになる(人生イベントに対応できない)
家を建てるとその後に必ず出てくるのが、
- 子どもの教育費
- 車の買い替え
- 修繕費(屋根・外壁・設備更新)
- 介護・医療費
- 転職・収入ダウンへの対応
50年ローンは返済負担を軽くする代わりに、
生涯にわたって”住宅ローンを背負い続ける”ことになります。
追加借入(リフォームローン、教育ローン)が必要になっても、
住宅ローン返済期間が長すぎて 審査が通りにくくなるケースが多い です。
7|50年住宅ローンをおすすめしない理由④
金利上昇リスクを長期間背負う(変動金利の罠)
50年ローンの多くは変動金利型。
つまり金利次第で返済額が大きく変わります。
50年という期間は、
金利が何度も上がりうる十分すぎる長さ です。
- 途中で1%上がれば
- 月々1.5万円〜2万円上昇
- 総返済額は数百万円アップ
報道でも話題になりましたが、
長期金利の上昇が進む2024〜2025年の状況下で、
50年ローンはリスクが高すぎます。
8|50年住宅ローンをおすすめしない理由⑤
住宅性能の寿命とローン期間が合わない
最近の住宅は高寿命化しているとはいえ、
外壁・屋根・設備は20〜30年で更新が必要です。
つまり、
ローンが残っているのに修繕費を何百万円も払わなければならない
という状態になります。
住宅ローンと家の寿命が不一致になると、家計は確実に苦しくなります。
9|じゃあ50年ローンを使うべき人は誰?
結論、多くの人にはおすすめできませんが、
ごく一部には「選択肢としてあり」のケースも存在します。
● 20代前半ですぐ家が必要
● 共働きで収入が右肩上がりの職種
● 早期繰り上げ返済を前提にしている
● 金利上昇にも耐えられる余裕がある
これらに該当すれば「戦略として」使える可能性はあります。
ただし、最初から50年で返す前提はNG です。
あくまで「スタートは軽く、収入アップ後に繰上返済する」という戦略が前提になります。
10|【結論】50年ローンはやめたほうがいい
最後にもう一度結論を明確に記載します。
❌ 50年ローンは、基本的におすすめできない
理由は以下の通り。
- 総返済額が大きくなりすぎる
- 老後資金が圧迫される
- 金利上昇リスクを50年背負う
- 修繕費や教育費に対応できない
- 完済年齢が現実的でない
月々を下げるだけなら、
返済期間を伸ばす以外の方法 があります。
11|月々を下げたいなら、こうすべき(おすすめ代替案)
50年ローンより、こちらのほうが賢い選択です。
✔ 返済期間35〜40年+ボーナス返済なし
根本的に返済が無理ない設計になります。
✔ 変動金利+繰上返済の計画をセットに
金利上昇に備えて返済額を自分でコントロールできます。
✔ 頭金を増やす
総返済額を最も確実に下げる方法。
✔ 住宅会社・土地価格を適正に見直す
予算オーバーの家づくりこそリスクの根源。
12|まとめ
50年住宅ローンは、
「目先の返済額の安さ」だけを見れば魅力的ですが、
家計全体を見ればほとんどの場合デメリットが勝ちます。
月々1〜2万円を軽くするために、老後の数百万円の負担を背負うべきか?
この問いに対して、
元銀行マンとしての答えは明確です。
おすすめできない。
安易に選ぶと将来の生活を苦しめる。


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