最近になって「50年住宅ローン」
なるものが出始めたみたいです。
昔は35年が当たり前。
40年でも「長いなぁ」と感じていたのに、いまや50年。
物価も建築費も土地代も上がり続け、
「月々をとにかく下げたい」という気持ちは痛いほどわかります。
私自身、銀行員時代に毎日のように住宅ローンの相談を受けていましたが、
“支払いの重さ” に不安を抱える方は本当に多かった。
ただ、そんな私があえて断言します。
【結論】50年住宅ローンは“ほとんどの人におすすめできません”
理由はシンプルで、目先が楽になる代わりに、未来が苦しくなる構造だからです。
元銀行員として、多くのお客様の家計の変化・老後の資金状況を見てきたからこそ言えることです。
この記事では、「なぜダメなのか?」を、体験談も交えながらわかりやすくお伝えします。
1|なぜ今「50年ローン」が増えているのか?
① 家の総額が上がりすぎている
2020年頃から建築費は右肩上がり。
札幌圏の土地も例外ではなく、正直…びっくりするほど高いです。
35年ローンだと「月12〜13万円はキツい」という家庭が増え、
50年ローンが“救いのように”見えてしまうのは無理もありません。
② 子育て世帯の返済負担を軽くしたい
「教育費がピークになる時期は月々を軽く」
という考え方もよく聞きました。
気持ちはものすごくわかります。
③ 銀行側にとっても“おいしい商品”
これ、あまり知られていませんが、銀行は
- 返済期間が長いほど利息が増える
- 契約件数も増やせる
というメリットがあります。
つまり…
利用者のためだけの商品ではないということです。
2|一見するとメリットに見えるポイント
① 月々が安く見える
3,500万円借入・変動0.6%の場合
| 期間 | 毎月返済額 |
|---|---|
| 35年 | 約93,000円 |
| 40年 | 約86,000円 |
| 50年 | 約76,000円 |
たしかに“見た目”はすごく魅力的。
20代の方なら「これなら家持てるかも」と思うのも当然です。
② 団信の安心感
期間が長くても、万一のときは団信でローンが消えるため、
「とりあえず大丈夫そう」と感じてしまうんですよね。
3|でも、ここからが本題です
私が「本気でやめたほうがいい」と言う理由を、正直に書きます。
4|おすすめしない理由①:総返済額がえぐい(利息地獄)
実際の数字を出します。
3,500万円を固定1.6%で借りた場合の総返済額は…
| 期間 | 総返済額 |
|---|---|
| 35年 | 約4,538万円 |
| 40年 | 約4,775万円 |
| 50年 | 約5,347万円 |
35年と50年では約800万円の差。
これは「家電を買い換えられる」なんてレベルじゃありません。
銀行員時代、返済期間をむやみに伸ばしたことで
「利息だけで何百万円も余計に払うはめになった人」を何度も見てきました。
5|理由②:完済時期が現実的じゃない(老後破綻リスク)
- 30歳 → 80歳完済
- 35歳 → 85歳完済
- 40歳 → 90歳完済
銀行で働いていた頃、
60代に入って返済が厳しくなる方は本当に多かったです。
70代・80代でローンを払い続けるのは…正直かなり無理があります。
6|理由③:借り入れ余力がゼロになる
50年ローンを組むと、その後の人生で必ずぶつかる
- 教育費
- 車の買い替え
- リフォーム費用(外壁・屋根・給湯器)
- 親の介護
- 転職・収入ダウン
これらに対応する余力がほぼ無くなります。
ローン期間が長すぎて、
追加の借入審査が通りにくくなるケースも実際に多いです。
7|理由④:金利上昇リスクを50年間背負う
変動金利がほとんどのため、50年のあいだに金利が動かない…
なんてことはまずありえません。
金利が1%上がるだけで月1.5〜2万円の負担増。
長期的には数百万円の差になります。
50年は長すぎます。
何回金利が上がるかわかりません。
8|理由⑤:住宅性能の寿命と合わない
外壁や屋根、給湯器、窓サッシ…
20〜30年の周期で修繕が必要です。
つまり、
ローンが残っているのに修繕費200〜300万円が必要
というタイミングが必ず来ます。
家の寿命とローン期間がズレるほど、家計は苦しくなります。
9|じゃあ、50年ローンを使ってもいい人は?
正直、かなり少数です。
- 20代前半でどうしても家が必要
- 共働きで収入が右肩上がりの職種
- 繰上返済を前提にした戦略的利用
- 金利上昇に備えられる貯蓄力がある
こういう方なら「スタートが50年」という使い方もギリギリアリ。
ただし、本気で返すのは25〜35年のつもりで動くことが前提です。
10|【結論】50年ローンはやめたほうがいい
理由は明確。
- 総返済額が増えすぎる
- 老後の資金が足りなくなる
- 金利上昇リスクが高すぎる
- 修繕費・教育費に対応できない
- 完済年齢が現実的じゃない
目先の“1万円の安さ”と引き換えに、
“老後の数百万円の苦しさ”を背負うのは割に合いません。
11|月々を下げたいなら、こうするのが正解
- ✔ 35〜40年ローンで設計を見直す
- ✔ 変動金利+繰上返済でコントロール
- ✔ 頭金を増やす
- ✔ 家・土地の予算を適正にする
50年ローン以外にも方法はいくらでもあります。
12|まとめ
50年ローンは、
「今の支払いを軽くしたい」という気持ちにつけ込んだ商品です。
元銀行マンとして、そして何百人もの返済相談を聞いてきた立場として、
私はこう言い切ります。
“安易に選ぶと将来の自分が苦しむ。”
あなたの大切な暮らしを守るためにも、
ぜひ慎重に選んでください。


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