2025年12月10日。
元日本銀行理事・早川英男氏のインタビューで、2025年12月18日、19日の金融政策決定会合で
政策金利を0.5%から0.75%に引き上げるのは
「もう決まりという感じだ」
という発言がありました。
これを見て、
「住宅ローンはどうなる?」
「今から家を買うのは危険?」
「変動金利はどこまで上がる?」
そんな不安を感じた人も多いはずです。
今回は、
✔ 政策金利0.75%とは何を意味するのか
✔ 住宅ローンにどんな影響が出るのか
✔ 今から家を買う人・すでに借りている人はどう動くべきか
を、専門用語をなるべく使わず、現場目線で解説します。
■そもそも「政策金利0.75%」はどれくらい大きな変化?
まず冷静に整理しましょう。
ここ数十年、日本は
「金利がほぼゼロの国」
でした。
住宅ローンを借りる側からすると、
- 金利は上がらないもの
- 変動金利はずっと低いまま
- 借りられるだけ借りてOK
という感覚が“当たり前”になっていたと思います。
ですが、
政策金利0.75% は、その常識が終わるラインです。
理由はシンプルで、
政策金利が0.75%になる=
銀行が「お金を仕入れるコスト」が明確に上がる
つまり、
住宅ローン金利が上がらない方が不自然 な水準になります。
■住宅ローン金利にはどう影響するのか?
●変動金利はどうなる?
政策金利が上がると、
銀行の短期プライムレートが上昇し、
変動金利にほぼ確実に影響が出ます。
現実的には、
- 変動金利:
0.3〜0.5%台 → 0.8〜1.2%前後
まで上がっても不思議ではありません。
ここで重要なのは、
「上がるかどうか」ではなく
「いつ・どこまで上がるか」
という段階に入った、という点です。
●固定金利はすでに織り込み済み?
一方、固定金利(フラット35など)は、
- 長期金利
- 将来の利上げ予測
を先に織り込むため、
すでに上昇傾向にあります。
つまり、
- 変動金利 → これから影響が出る
- 固定金利 → すでに影響が出ている
という状態。
■「金利が上がる=家を買ってはいけない」ではない
ここで、よくある誤解があります。
「金利が上がるなら、今は家を買うべきじゃない?」
これは半分正解で、半分不正解です。
●確かに“借りすぎ”は危険になる
金利が低い時代は、
- 借りられる額=安全な額
という錯覚がありました。
でも金利が上がる局面では、
- 借りられる額 ≠ 返せる額
になります。
たとえば、
- 4,000万円
- 変動0.5% → 月返済 約10.3万円
- 変動1.2% → 月返済 約12万円
たった0.7%で、毎月1.7万円増。
これが30年続くと、
精神的な重さは想像以上です。
●一方で「家賃も上がっている」という現実
もう一つ、見逃せないのが家賃。
- 建築費高騰
- 修繕費上昇
- 金利上昇
これらを背景に、
賃貸の家賃も確実に上がっています。
つまり、
「家を買わない=安全」
ではなく、
「住居費全体が上がる時代」
に入ったということ。
■今から家を買う人が意識すべき3つの行動指針
ここからが一番大切な話です。
① 借入額は「金利1.5%でも耐えられるか」で考える
今の金利ではなく、
将来1.5%になっても生活が破綻しないか
この視点で借入額を決める。
これだけで、
住宅ローン破綻リスクは一気に下がります。
② 変動か固定かは「性格」で決める
よく「どっちが得ですか?」と聞かれますが、
私はこう答えています。
- 金利上昇に耐えられない → 固定
- 多少の変動を許容できる → 変動
損得より、
精神的に耐えられるかどうかが重要。
③ 「家を買う=ゴール」ではなく「生活設計」が主役
金利が上がる時代は、
- 教育費
- 車の買い替え
- 修繕費
- 固定資産税
これらを軽視すると、
後からじわじわ効いてきます。
住宅ローンは
人生で一番長く続く支出です。
■すでに住宅ローンを借りている人はどうすべき?
●慌てて借り換える必要はない
「金利が上がるなら、今すぐ固定にすべき?」
こう考える人も多いですが、
慌てた行動は逆効果になることも。
まずやるべきは、
- 現在の返済額
- 金利が1%上がった場合の返済額
をシミュレーションすること。
●繰上返済は「生活防衛資金」を残してから
金利上昇局面では、
- 繰上返済=正義
と思われがちですが、
現金がなくなるリスク
も忘れてはいけません。
私はいつも、
- 生活費6〜12か月分を確保
- 余剰資金で繰上返済
をおすすめしています。
■まとめ|政策金利0.75%時代は「堅実な人」が勝つ
政策金利0.75%は、
日本にとって大きな転換点です。
でもこれは、
- 家を買ってはいけない時代
ではなく、 - 考えずに借りる時代が終わった
というだけの話。
✔ 借入額を抑える
✔ 金利上昇を前提に考える
✔ 生活全体で住宅費を見る
これができる人にとっては、
むしろチャンスの時代です。
家づくりは「勢い」ではなく「設計」。
金利が上がる今だからこそ、
一度立ち止まって考える価値があります。


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